「無回転卓球ラケット」完成までの軌跡

無回転卓球とはラリーが何球も続く新しい卓球です。

 

回転をかけられないよう、当初は使用するラバーをアンチラバーと粒高ラバーに制限していました。

 

しかし・・・

 

アンチラバーと粒高ラバーはメーカーの開発競争により、最近では回転がかかるものも販売され始めています。

 

一方で、無回転卓球と同じように「誰でもラリーが続く卓球を作ろう」というテーマで考案されたラージ―ボールというスポーツがあります。

 

初心者や高齢者を対象として1988年に日本卓球協会によって考案されました。

 

普通の卓球よりネットを高くし、ボールも通常より大きいものを使用。

 

ラバーは回転がかりずらい表ラバーを使います。

 

当初の目標は無回転卓球と共通していましたが、回転がかかる表ソフトラバーの開発によって現在は普通の卓球に近づいてしまいました。

 

これでは無回転卓球もラージ―ボールと同じような運命をたどることになります。

 

また、アンチラバーと粒高ラバーは普通の卓球でも公認されていて、実際に練習している選手がいます。

 

特に粒高ラバーは使用者が多く、その人たちが無回転卓球で上位を占めてしまう可能性があります。

 

経験に関係なく楽しめるにはどのようなラバーを使えばいいのか?

 

Nonspinは研究をスタートしました。

 

まず、摩擦が少ない素材を考え付く限り購入し、実際に打ってみて確かめました。

 

最初に試したのは低摩擦のゴムです。

 

回転はかかりませんが材質が硬く、安定性に欠けていました。

 

そこで次に試したのが特殊マットです。

 

幅広い分野で使用されているクッション材で、

「ボールをつかむイメージで打てる」コントロール性に優れたものでした。

 

しかし、アンチラバーと同じくらいの回転がかかってしまい、差別化できないため断念しました。

 

最後にたどり着いたのがフエルトです。

 

手芸などで使われる素材で、ご存知の通り全く摩擦力がありません。

 

唯一の難点だったのは、身近に売っているフエルトは厚さが1、2ミリしかないということです。

 

薄いためどうしても木で打っているような感覚になり、ボールも弾んでしまいます。

 

なんとか厚くしてクッション性を高められないか。

 

メーカーに頼んで、無回転卓球用の特殊フエルトを製造してもらいました。

 

すると・・・

 

これが思っていた以上にボールの勢いを消してくれるのです。

 

回転がかからず、スピードを殺してくれ、コントロールも良い。

 

まさに最高のラバーです。

 

結果的には5ミリ以上の無回転卓球用フエルトを使用することになりました。

 

しかしまだ課題は残っています。

 

いくら回転がかからず、スピードが出ないラバーを作っても、

ラケットを弾むものに変えてしまうとスピードが出せてしまうのです。

 

そこで、ラケットも弾みを抑えたものを探してみました。

 

片っ端からメーカーに連絡を取り相談したのち、ついに海外のメーカーに作ってもらえるようになりました。

 

弾みを抑えることでラケットの重さも落とすことができ、待望の「超軽量」次世代型無回転卓球ラケットが完成です。

 

回転がかからずスピードが出ないフエルトのラバーを、弾みを抑えた安定性抜群のラケットに貼る。

 

これによってまさに「無回転卓球ラケット」が誕生したのです。